【脚本】最初で最後のssh〜プロセス1〜
登場人物
- 伊藤彩(27)…インフラ&サーバサイドエンジニア。
前職で本番環境のDBを吹き飛ばした経験あり(※)
田端祐介(32)…プロジェクトマネージャ
白井(30)…サーバサイドエンジニア。中途入社。彩の部下。
○株式会社セントレイ(午後)
ワンフロアのオフィスに20人のエンジニアが働いている。
その真中の島の席で、彩が黒い画面を見ながら眉間にシワを寄せている。
彩「おっかしーなー。なんでバッヂが返ってこないんだろ。。。」(※) 祐介「伊藤〜、そこのバッヂ処理、修正したらステージングに上げなおしといてね。 今・日・中」(※) 彩「わ、わかりました!」 彩「……今日中かぁ。。。間に合うか?これ。返ってきてくれ、バッヂ。。」 祐介「それと! 今日から中途採用の子の教育担当をやってもらうから」 彩「えぇ!きいてませんよ!」 祐介「けっこう急に決まったらしいからさ。よろしく!ちなみに、推薦したの俺」 彩「勝手なことしないでくださいよぉ!」 祐介「あと伊藤より年上な」 彩「えぇ!」 祐介「大丈夫大丈夫。優秀なやつらしいから」
○祐介、そのままお昼を食べに外出
その後姿を睨みつける彩。
彩「忙しいときに限っていろいろ重なるんだから。。」 彩「何ていうんだっけ。こういうの」 彩「マフィン?の法則?」 ??「美味しそうですね。マーフィーですよ。彩先輩」(※)
○彩、後ろを振り返る
見たことのない男が立っている。
前髪で目が隠れて表情が見えない。
彩、すこし表情をこわばらせる。
彩「えーと、、誰?」 ??「聞いてませんか?今日からお世話になる白井です」 白井「よろしく、マフィン先輩」
○彩、眉間に指を当て、イライラしながら
彩「よろしく白井さん」 彩「さっそくだけど、今テストサーバで動いているバッヂがどこかで止まってるの。 ログを確認してもらえる?」(※) 白井「ログファイルもらえます?」 彩「鍵ファイルを渡すから、sshなりscpなりで自分で入手してもらえる?(※) こっちも忙しいんだよね。バッヂの修正で」 白井「マフィン先輩」 彩「何?」
○白井を見上げる彩。白井の顔がこわばっている。
白井「僕、sshはちょっと」 彩「やりかたはググればでてくるって」 白井「いや、そういうわけじゃなくて」
○ゆっくり息を吸って吐く白井。
白井「sshは、ダメなんです」
続く
用語集
本番環境のDBを吹き飛ばす
滅多にないが、
誤って顧客データ等の大事なデータが入ったDBを削除してしまうこと。
この後滅茶苦茶辞職した。
バッヂ処理
時間がかかる処理を、お客様への影響が少ない時間帯にまとめて行うこと。
例えば、月毎の売上集計・一日の売上集計などは
一般的に集計に時間がかかる&サーバにも負荷がかかるので、
夜間(深夜)にまとめて処理する事が多い(夜間バッヂと呼んだりする)
ステージング
本番環境と同じ環境で作った、最終動作確認用サーバ。
ここでシステムを動かして最終確認をし、問題なければ本番にデプロイする。
なお、ステージングの前がテストサーバ。
マーフィーの法則
先達の経験から生じた数々のユーモラスでしかも哀愁に富む経験則をまとめたもの(wikiより)
例えば、「傘を持っていないときに限って雨が降る」とか
「浮気をしているときに限って目撃される」とか。
ログ
ここではサーバ上に保持されている、時系列データのこと。
/var/log
以下にだいたい入っている。
apacheをwebサーバとする場合、
/var/log/httpd
にアクセスログやエラーログが入っていることが多い。
ssh
外部のコンピュータと通信するためのプロトコル。
暗号や認証の技術を利用しているので、安全に通信できる。
telnetも外部のコンピュータと通信するが、暗号化はされていないのでsshの方が安全。
scp
wgetのセキュアバージョンと捉えれば良さそう。